Blue Oceanをめざして(2006年2月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

 今の清酒業者にとって、最もきつい言葉は次の言葉ではないかと私は思います。

「産業の成熟度と企業の成長率や業績は無関係である。成熟産業というようなものは存在せず、停滞した経営があるだけである。」(ストレッチ・カンパニー、16ページ)

 私たちは、今日の苦境をついつい業界の不振に結び付け、言い訳に使ってしまうのです。 しかしながら、どんな厳しい市場においても、成長を遂げている業者があるわけですから、自社の業績不振を環境のせいにすることは許されません。 どんな環境下においても、成長への挑戦を止めてはならないのです。

 さて、成長への挑戦を続け、輝かし未来を手に入れるためには、ブルー・オーシャン(Blue Ocean)を切り開いていくことが必要だという本を読みました。 「ブルー・オーシャン戦略」(Blue Ocean Strategy)という本です。

 激しい競争の続く既存の市場、すなわち「赤い海」(レッド・オーシャン)から抜け出て、未開拓の未知の市場、すなわち「青い海」(ブルー・オーシャン)を開拓する必要性が高まっているというのです。 今の清酒業者にとって最も必要なことは、この「ブルー・オーシャン」を創造することだと私は思っています。

 どんな厳しい環境下においても、企業は利益ある成長を続けるべく、業界のパイオニアとなって、新しい市場空間、すなわち「ブルー・オーシャン」を開拓すべく事業の再構築をしなくてはなりません。 そして、新しい市場空間を切り拓くためには、革新的な価値の創造(バリュー・イノベーション)を実現しなくてはなりません。 業界の魅力度はあらかじめ決まっているわけではないのであり、革新的価値の創造によって、魅力度は高められるものなのであると考えて、懸命に努力することが求められていると思います。

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