2008年8月1日金曜日 岡山日日新聞 「備前児島酒」を復元 政令市祝い今秋発売

「備前児島酒」を復元 政令市祝い今秋発売

 宮下酒造(岡山市西川原、宮下附一竜社長)は、岡山市の政令市移行を記念した日本酒「備前児島酒」を今秋から発売する。政令市移行を祝う日本酒の発売は初めて。

 1590年ごろ、児島半島にある同市郡地区の酒屋で醸造された「備前児島酒」は、宇喜多秀家(1572-1655)が豊臣秀吉の茶会に持ち寄り、評判を受けたという逸話がある。

 酒屋と岡山の町の結び付きも深く、1595年に秀家が岡山城を新築する際、郡地区の酒屋を城下町に移したことに始まったとされる。

 当時の酒を再現しようと、同社が製造に着手。当時の文献を頼りに今春までに完成させた。

 レトロ感漂う青色の瓶に入った「備前児島酒」は、県産雄町米を使用し、麹(こうじ)割合は33%と現在の日本酒(20%)と比べ高くアミノ酸たっぷり。水で薄める割合も少なく、甘さを引き立てた。二段仕込みにより酸味を上げ、濃厚な味わいにアクセントを利かせた。

 今回は「備前児島酒」の製造開始と同時期に伝来した焼酎をセットで発売する。銘柄は本格焼酎「岡山物語」。米焼酎でアルコール度数は35度と高めだが、シェリーだるで長期熟成しており、まろやかな味に仕上がった。

 2本各500ミリリットルで3675円。政令市移行が閣議決定された日から、百貨店などで発売を始める。今年は限定800セットだが、来年春までに増産も計画している。

 宮下社長は「何かできないかと手探りで挑戦した。岡山市の発展は宇喜多秀家が原点と思いをはせなあら、味わってほしい」と話している。

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