味と香りについて

▼ 味と香りについて
日本酒の味と香りの特性から、日本酒を大きく4つのタイプに分類することができます。

1.香りの高いタイプ
このタイプは吟醸酒が代表的で、生酒、本醸造酒にも一部該当するものがあります。 色調は淡く、果実や花様の上立ち香が高く、軽快で爽やかな味です。香気成分を多く含み、老ね香(ひねか)成分やアミノ酸が少ないのが特徴です。

2.軽快で滑らかなタイプ
このタイプは生酒が代表的です。本醸造酒、純米酒にも該当するものがあります。 色調は淡く、上立ち香は控えられていますが、新鮮で軽快な含み香と、なめらかでみずみずしい味が特徴です。 香気成分は中程度ですが、リンゴ酸などの有機物を多く含み、アミノ酸、老ね香成分は微少です。

3.コクのあるタイプ
このタイプは純米酒が代表的です。本醸造酒にも該当するものがあります。 色調はやや濃く、落ちついた香りとやや重厚な、ほどよい苦味を持っています。 乳酸等の有機物を多く含み、老ね香成分のやや高いものがあります。

4.熟成タイプ
このタイプは古酒が代表的です。一部純米酒にも該当するものがあります。 色調は濃く、シェリーのような香気を持ち、重厚で、ほど良い苦みと後味のよさが特徴です。 老ね香成分、有機酸、アミノ酸を多く含みます。(※ 古酒・・・長期間熟成させたお酒。)

– – – 日本酒のタイプ分類 – – –

香りが高い





香りの高いタイプ north 熟成タイプ


香り
華やかで透明感のある果実や花の香りが特徴。

味わい
甘さと丸味は中程度で爽快な酸との調和がとれている。

相性のよい料理
魚介類の素材の味を生かした料理に合う。

適温
5~10、25~35度C

香り
スパイスや干した果物等の力強く複雑な香りが特徴。

味わい
甘味はトロリとしていてよく練れた酸が加わり調和している。

相性のよい料理
乳酸の多い肉類、高タンパク質性料理に適する。

適温
15~25、40~45度C

left center right
軽快でなめらかなタイプ south コクのあるタイプ
香り
穏やかで控えめな香りが特徴。

味わい
清涼感を持った味わいでさらりとしている。

相性のよい料理
赤身の肉より魚介類のような乳酸の少ない素材に適する。また、口中の油脂類を洗い流す作用がある。

適温
5~15、35(前後)度C

香り
樹木や乳性の旨味を感じさせる香りが特徴。

味わい
甘味、酸味、心地よい苦味とふくよかな味わいが特徴。

相性のよい料理
アミノ酸含有量の多い料理に適する。

適温
15~20、45~50度C

香りが低い

● 料理に日本酒を合わせます。
「日本料理には日本酒」という固定観念から離れ、ライフスタイルや食事の好みの変化に応じて日本酒を選んでみる、 和・洋・中と、料理にあわせて変えてみる、そんな飲み方ができるのも種類の多い日本酒ならではの楽しみです。 四タイプ別分類をヒントにすれば、日本酒の楽しみ方が、バラエティに広がっていきます。

● 日本酒の味や香りを表す言葉。
ふだん、私たちは、日本酒の味を、甘いとか辛いとかぐらいにしか表現しません。 ところが「きき酒」の時には、こく、ごくみ、芳醇な、旨味、まるみ、ふくらみ、のどごし、さばけ、後味、 きれい、なめらか、軽い、すっきりした、味の調和した、なれた、若い、しっかりした、さらっとした、熟した、すっぱい、渋い、にがいなど、 なんと49種類の言葉で表現します(日本酒造組合中央会・官能検査法より)。

● 温度によっても味わいは変わります。
日本酒は冷やして良し、燗して良し、また常温で良しと、どのような温度でもおいしく飲める、世界でも珍しいお酒です。 ただ、タイプによって、それぞれにふさわしい適温があることもぜひ知っておきましょう。

「日本酒読本」 日本酒造組合中央会発行 より