法人と資本主義(2018年6月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

 本日は「法人と資本主義」ということについて簡単にお話をさせていただきます。

 まず、第一には「法人」という言葉は、人間の想像力によって生まれた虚構、フィクションだということです。「サピエンス全史」という本の著者ハラリは書いています。「法人も神話や国家や貨幣という言葉と同じように、ホモサピエンスである人類が発明し、皆がそれを信じている虚構なのです。この虚構こそが見知らぬ人同士を結び付け、協力することを可能にし、ホモサピエンスは途方もない力を得ることができ、文明を築くことができたのだと」。この本「サピエンス全史」は世界的なベストセラーになっていますので、是非一度お読みいただければ、目から鱗が落ちると思います。

 次に、第二には法人という言葉を理解するために、「法人の歴史的起源と資本主義の発展」についてお話したいと思います。

 法人という制度が最初に現れたのは古代ローマ時代の自治都市だいいわれ、中世になると僧院や大学といった団体が法人という形態をとったといわれますが、これらは主に公共目的のために限られています。営利を目的とした営利法人として会社が成立したのは、オランダやイギリスの国王の特許によって設立され、遠隔地貿易を進めた東インド会社だといわれます。

 そして、十八世紀後半にはイギリスにおいて産業革命がおこり、大規模な機械制工場を建設するため、資金調達の手段として株式会社制度の導入が行われました。商業資本主義から産業資本主義へと資本主義の発展によって、家族や個人の資産では必要とする機械設備さえまかなえなくなり、株式市場を通じて大量の資本を集めることが必要となり、会社制度が整備されてきたといえると思います。

 第三には、「会社は誰のものか」という問いかけです。会社は株主のものであるというアメリカ的な「株主主権論」と、会社そのものの維持と成長を目的とし、従業員のものでもあるという日本的な「会社共同体」論の論争です。これからの会社のあり方についての大事な問題ですが、本日は問題提起で終わらせていただきます。

 第四に、結論として「経営者のあり方」についてです。法人とは法律上のヒトであり、観念的な存在であり、フィクションであると最初に言いましたが、そうであれば実際に会社を機能させるためには、自然人としての生身の人間がかじをとる必要があります。その役割を果たすのが経営者です。

 法人会がよき経営者の団体として、経営者に、企業の発展と地域の振興、そして、国と社会の繁栄に貢献することを求めることの意義は大きいと考えます。皆さん、法人会においてお互いに切磋琢磨し、研鑽し、よき経営者になろうではありませんか。

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