新年のご挨拶(2005年1月号)

旧年中は格別のお引き立てに預かり、誠にありがとうございました。
本年も相変わらない、ご愛顧のほどお願い申し上げます。

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

 翻って、昨年平成16年を振り返ってみれば、台風が頻繁に襲来し、大きな地震も発生するなど災害の多い年でした。被害に遭われた皆様方に心よりお見舞い申し上げます。

 さて、我が酒類業界を振り返ってみれば、日本を襲った自然現象と同じように、大変厳しい年でした。

 まず、第一には、一昨年の9月から始まった酒販免許の自由化のよって、流通業界の再編が始まり、その余波が酒類業界全体に大きな衝撃を与えています。

 この地震にうまく対応できるかどうかが、生き残りをかけた競争のなかで明暗を分けることになると思います。酒造メーカーとしては、一層顧客価値のある商品開発が求められています。今後とも、魅力ある商品開発に努めてまいりたいと思います。

 第二には、予想だにしなかった“焼酎ブーム”の盛り上がりです。平成に入り、外国からの圧力によって、焼酎の酒税が安いのはWTO違反であるとして、その酒税をウイスキーと同じに引き上げることが決まり、焼酎業界は壊滅するのではないかと心配されました。ところが、顧客の支持を得た焼酎は、洋酒や日本酒を蹴散らせています。誠にみごとな復活といえると思います。単に価格が安いということよりも、いかにお客様の支持を得ることが大切であるかということの証であると思います。

 第三には、日本の伝統産業である日本酒業界の低迷であります。単に焼酎にやられたというよりも、清酒からお客様が逃げ出しているといった方が正しいような気がいたします。当分真冬の時代が続き、業界の淘汰、再編が行われるように思います。日本酒の復活は可能なのでしょうか。これからの最も大きな課題だと思います。ところで、アメリカにおいて日本酒は大変脚光を浴びているそうです。ここに、何か大きなヒントがあるように思われます。当社も本年の4月頃より、ニューヨークに輸出を始める予定で、現在準備を始めています。新しいきっかけを発見できればと期待しています。

 その他にも大きき変化が起こっていると思いますが、思いつくままに新年のご挨拶として、感想を述べさせていただきました。今日があって、明日があります。昨年の反省の上に、本年の新しい芽を見つけてまいりたいと思います。どうぞ、本年もよろしくお願い申し上げます。

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