清酒業界

「コモディティ化の罠から脱却すべき清酒業界」(2007年9月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

 私たち酒造業界の置かれた環境は、ますます厳しいものとなっていますが、この困難を克服し、新しい時代環境に適応するための課題を私なりに一言で表そうとするならば、「コモディティ化の罠から脱却すべき清酒業界」ということになると思います。


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清酒業界におけるターンアラウンド戦略(2006年7月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

1.はじめに
酒税制度の改正も行われ、清酒の需要も下げ止まる様子をみせる今日の次なる課題は、日本酒業界の再生を図るための長期戦略の構築にあると思う。そのためのたたき台として私の考えを提案してみたい。


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顧客価値の創造(2005年10月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

  1. 清酒業界の現状
    1. 需要の大幅減少
      1973(昭和48)年度――― 1.754.925kl(9.747千石)
      2004(平成16)年度―――  752.969kl(4.174千石) 43%
    2. 平成6年度頃より減少率の拡大
      特に平成16年度の対前年比は10.5%の減少
      焼酎の台頭によるものか
  2. 清酒衰退の原因はどこにあるのか ――― 深い反省
    1. 市場の変化に鈍感な「ゆでガエル現象」
    2. 顧客価値という視点の欠如
      <参考1> 成長が止まったとき、企業は衰退する
      成長できない五つの理由(「成長し続ける会社」マイケル・トレーシー著)
      ・ 長年にわたって、顧客が求める価値を無視し、特権に甘えてきた
      ・ 成長が急停止した市場で、無理な事業拡大をはかった
      ・ 「独占」という優位性が失われた
      ・ 顧客の価値観が大きく変化したことを見逃した
      ・ 次の時代に求められるニーズに応える、新手のライバル企業に不意を突かれた
      <参考2> 真の顧客中心のビジネス・デザイン(「プロフィット・ゾーン経営戦略」26ページ)
      「その結果、多くの業界の顧客が、退屈し、怒り、そして関心を失っている。そうした業界には非常に類似したビジネス・デザインが蔓延しており、同じやり方による競争が展開され、顧客中心というより製品中心の思考となっている。 こうした状況は、起業家や新規参入者にとって大きな機会となる。起業家や新規参入者が、業界の外部者である必要性はない。 あなたの会社であってもよい。重要なのは、顧客の優先事項を理解することだ。」
  3. 顧客価値の創造
    1. 顧客価値とは、「製品やサービスを提供する機能ではなく、顧客から見てどのような利点、あるいは、どのくらいの価値があるか」ということ
    2. 顧客価値の創造とは、企業の消費者に対する驚きの提供によって、価値観の変化をもたらすこと。
    3. 価値創造のタイプ
      1. 製品再評価による「驚き」のコストは、新製品・サービスの開発や生産のコストは発生しないが、新しい価値観を構築するコストとそれを普及させるコストがかかる。
      2. 製品改良による「驚き」のコストは、既存製品・サービスとの差を増分的に新製品・サービスに付与することで発生するコストである。
      3. 製品革新による「驚き」のコストは、新製品・サービスの開発とその生産コストからなるが、製品革新による驚きは既存の価値観で評価できない独創性によって引き起こされる。
    4. 価値創造とブランド
      1. 「驚き」を生み出す能力には、新製品・サービスを生み出す能力と新しい価値観を構築する能力がある。
      2. 新しい価値観を構築する能力は、社風や企業文化に起因すると考えられる。したがって、優れた製品開発・生産・マーケティングの能力、革新的な社風・企業文化が「驚き」を生み出す源泉と考えられる。
      3. 消費者は企業から「驚き」を連続して与えられることによって顧客価値創造という点で企業を高く評価し、企業は顧客のロヤリティを獲得し、ブランドが形成されていくと考えられる。
      4. ブランドをこのようにとらえると、消費者は企業のブランドに基づいて「驚き」を期待するようになる。企業にとって、ブランドは「驚き」を与える源泉と位置づけられ、ブランドは顧客価値創造に寄与するといえる。
      5. ブランドは、優れた製品開発・生産・マーケティングの能力と革新的な社風・企業文化、そして、それらを維持していく能力である。
      6. 「驚き」をキーワードとした顧客価値創造は、企業が製品・サービスを生産・提供すること以上の内容をもつと思われる。こうした価値観の変化を伴うような顧客価値創造は、成熟化した社会においてはその重要性がますます高まっていくと予想される。

「大和魂」と「酒造家魂」(2004年9月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

 安政六年(1859年)十月二十六日、処刑の前日吉田松陰が江戸伝馬町の牢内で書き上げた遺書である「留魂録」(りゅうこんろく)の冒頭には、「身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂」という和歌が書かれています。


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