消費税

清酒の「制度改革」について(2004年11月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

今なぜ清酒の「制度改革」が必要なのか

  1. 環境変化に対応できない業界と行政
    1. 業界は、免許制度の上に経営が行われているため、行政及び業界団体に対する依存意識が強く、危機意識に乏しく、改革への意識が低い
    2. 行政は、時代の変化の後追いになっており、酒税制度の矛盾に適切に対応できていない
  2. 今日の清酒業界の苦境を打開するためには、業界一致の共通認識として「顧客中心思考」の確立が必要である。
    1. 顧客ニーズの変化
      1. 顧客はどのように変化しているのか
    2. 顧客中心思考の必要性
      1. 顧客にとって最も重要なのは何か(顧客価値の追求)
      2. 製品中心の市場シェアから顧客中心と利益中心思考へ
    3. 顧客中心思考による業界の再構築
      1. 明日の顧客の優先事項は何か
      2. 将来を定義するということは、明日の顧客の優先事項を予測することである
  3. 酒税制度の問題点
    「顧客中心思考」の立場から酒税制度の問題点を全面的に見直すことが必要である

    1. 酒税制度全般の見直し
      1. 酒類の分類・定義の簡素化
      2. 酒類間の税率の簡素化
    2. 日本酒の再定義
      1. 日本酒とはどのような酒かという原則の確立
    3. 分かりにくい清酒の内容表示
      1. 顧客の信頼を高めるために、「顧客中心思考」に立って表示を見直す
  4. 消費税の引き上げと酒税
    1. 2007年度頃から消費税が引き上げられるとすると、酒税の減税を含め酒税制度の全面的見直しが行われる可能性が高い
    2. 租特法87条の期限は平成20年3月までであるが、全面見直しに含まれる可能性がある
    3. 2015年までに消費税が15%まで引き上げられるとすると、酒税制度そのものの必要性が議論される
    4. 従って、消費税の引き上げまでに、酒税制度についての業界としての対案をまとめることが必要である