歴史

「酒は文化なり、歴史なり」(2018年4月号)

「酒は文化なり、歴史なり」
「The subsequent development of these human cultures is called history.」
人間文化のその後の発展を「歴史」という―――「サピエンス全史」より

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

(1) 文化とは何か
・「人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果」(広辞苑)
・「人間の生活様式の全体。人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体。それぞれの民族・地域・社会に固有の文化(日本の文化)があり、学習によって伝習されるとともに、相互の交流によって発展してきた。(東西の文化の交流)」(デジタル大辞泉)

(2) 酒文化とは
・酒はその土地でできる材料を使って、人間の知恵と工夫により造られた文化
・酒の原料は主に植物であるが、多種多様であり、世界中にいろいろな酒がある
・製造方法も多様であり、醸造酒(日本酒、ビール、ワイン、紹興酒)、蒸留酒(焼酎、ウイスキー、ジン、ブランデー、白酒)、混成酒(リキュール、薬酒)
・「すぐれた酒を持つ国民は進んだ文化の持主であると言っていい」(坂口謹一郎著「日本の酒」より)

(3) 歴史とは何か
・「人類社会の過去における変遷・興亡のありさま、また、その記録」(広辞苑)
・「ある事物・物事の現在まで進展・変化してきた過程」(デジタル大辞泉)
・「人間が農耕生活に入って、農作物に余剰が出るとそれらの加工が考えられるようになった。その有力な手段の一つが醸造であり、その中に酒造りがあった。農作物は神からの授かり物という考えは、多くの民族に共通のもので、農作物は神に捧げられ、酒もまず神に供えてから神と共に飲んでいた(直会)。一方で、酒は薬とも考えられていた。漢字で醫という事の酉は酒のことで酒と薬は同源であった。酒の生産が増えていくにつれ、酒は人間にとって重要なものとなり、宗教、政治、経済、芸術、文学、科学などに関わり合いを持ち、まさに人間の歴史とともに歩んできたといえる。」(大塚謙一著「酒の履歴」より)

(4) 宮下酒造の酒文化とは
・「Development is defined by the carrying out of new combinations.」
 発展は新結合の遂行によって規定される(シュムペーター著「経済発展の理論」)
・「日本と世界の酒文化をつなぐ」ことによってイノベーションを起こすというコンセプト
・違った製法の酒の新結合による新製品開発

『酒は文化なり、歴史なり。』(宮下附一竜著)
『酒は文化なり、歴史なり。』(宮下附一竜著) 詳細情報
(さけはぶんかなり、れきしなり。)
説明
宮下酒造の酒造りの歴史がつまった一冊です。

日本酒の歴史の概観(2008年7月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

  1. 世界の酒―>麦芽文化圏(ビール)、メソポタミア、エジプト
    中国の酒―>モチ麹(粉)、紹興酒(クモノスカビ)
    日本の酒 ―>バラ麹(粒)、日本酒(麹菌)
  2. 稲作農耕文化の渡来―>日本酒の起源は中国江南地域から稲作耕作文化の渡来
    縄文人(南方モンゴロイド)―>陸稲(熱帯ジャポニカ)、紀元前5世紀
    弥生人(北方モンゴロイド)―>水稲(温帯ジャポニカ)、紀元前3世紀
  3. 口かみ酒から芽米酒、そして麹酒
    口かみ酒(一夜酒)神酒として祭祀に使用
    芽米酒(醴・レイ)は米や小麦を発芽させたもの(蘖・ゲツ)を糖化剤として使う。紀元3,4世紀頃、渡来人(活日、須須許理)が伝える。
    麹酒とは、紀元9世紀までに、蘖(ゲツ)の意味が米バラ麹に変わった酒
  4. 朝廷の酒―>律令時代の酒(令集解、延喜式)、宮中造酒司(バラ麹)
  5. 武者の酒―>鎌倉時代、1252年「沽酒之禁」(酒の売買の禁止)
  6. 町衆の酒―>室町時代、京都の柳酒、14世紀中世的酒造業の成立、酒屋に課税
  7. 僧坊酒―>天野酒(河内天野山金剛寺)、菩提泉(大和菩提山正暦寺)
  8. 「御酒之日記」、「多聞院日記」(中世の酒造りの醸造技術の口伝)
  9. 南都諸白より伊丹諸白へ―>南都諸白は室町末期から近世初頭の銘酒
    江戸時代になると伊丹諸白へ
  10. 伊丹諸白から灘の寒酒へ―>水車精米、酒造道具の大型化、樽廻船
  11. 明治政府の酒造政策

日本酒製造業の変遷(2004年5月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

 日本酒業界の変遷を明治以降現在までの製造場数及び生産数量についての全国と岡山県の一覧表を作成してみました。 皆さんはこの表からどのようなことを考えられますか。ご意見をお寄せください。

まず、簡単に私のコメントを述べてみます。


“日本酒製造業の変遷(2004年5月号)” の詳細は »

賢人は歴史に学ぶ(2001年12月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下 附一竜

 今月のトピックスは少し遅れましたが、最近感じていることをお話してみたいと思います。

 賢人は歴史に学び、愚者は経験に学ぶといわれますが、今日の様な混迷した時代においては、一層歴史に学ぶことが大切であるように思えます。


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