国富家文書

国富家文書による幕末酒造史

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

 幕末に岡山城下町の惣年寄を勤めた豪商塩涌屋国富家の文書約五百点が、岡山市立中央図書館に寄贈されています。この文書は昭和二〇年六月の岡山空襲で被災を免れた数少ない町方史料で、近世城下町の岡山市政を知るには、岡山大学付属図書館の「池田家文庫」と補い合う貴重な資料です。

 国富家は江戸時代後期から海産物問屋として発展、金融業で財をなし、幕末には岡山藩の財政を支える有力商人になりました。1855(安政2)年に国富源次郎が銀札切り下げに起因する取り付け騒ぎを収拾するにあたり、町方惣年寄に任ぜられてから、次代の庄太郎とともに岡山市域の民政を取り仕切りました。

 国富家の文書は城下町の市民から、町奉行への申し立てや請願書と藩からの回答や指示が記録されています。


“国富家文書による幕末酒造史” の詳細は »